役に立つオモシロ医学論文

認知症による死亡リスクの抑制にはオリーブ油が効果的?

マヨネーズ、マーガリンからの切り替えも有効

 高齢化が進む現代社会では脳卒中や心臓病で亡くなる人が減少傾向にある一方で、認知症の進行に関連した合併症(誤嚥による肺炎や摂食障害)で亡くなる人は増加傾向にあります。

 認知症を発症する原因はさまざまですが、食事習慣との関連性に着目した研究は数多く報告されています。とりわけ、イタリアやギリシャなど地中海沿岸の国々で食されている地中海食は認知機能の維持に有益である可能性が示されていました。

 地中海食は、オリーブ油を豊富に用いることが特徴です。そのため、オリーブ油の摂取は認知機能に良い影響を与える可能性があります。そのような中、オリーブ油の摂取と認知症に関連した死亡リスクを検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに掲載されました。

 この研究では、米国の医師および看護師9万2383人(平均56.4歳、女性65.6%)が対象となりました。研究参加者を、オリーブ油の摂取量が「月に1回以下」「1日に0グラム超~4.5グラム以下」「1日に4.5グラム超~7グラム以下」「1日に7グラム超」の4つの集団に分類し、認知症に関連した死亡リスクを比較しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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