欧州で行われてきた大規模な診療実績試験「シンタックス試験」でも、それはハッキリしているので、3枝病変の患者さんは冠動脈バイパス手術が第1選択だと考えてください。
冠動脈バイパス手術は、患者さん自身の他の場所の血管(グラフト)を使ってバイパス血管をつくることで、狭くなったり詰まっている血管を通らなくても、心筋への十分な血流を確保できるようにする手術です。
この手術を受ける際には、2つの重要なポイントがあります。「オフポンプ手術を行っているか」と「長持ちする血管をバイパス血管として使ってくれるか」です。
まずは、心臓を動かしたまま行う「オフポンプ手術」を選択するようにしてください。従来の心臓手術は、血管を人工心肺装置につなぎ、心臓を止めて行うのが一般的でした。しかし、心臓の拍動を止めている時間が長ければ長いほど、患者さんは強いダメージを受けます。それが心臓を止めずに手術を行うと、患者さんの負担が大きく軽減されて術後の回復も早くなるというデータが出ているのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」