天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

不確かな健康情報をうのみにして人工透析に

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ


 3年前から不整脈で経過観察中です。病気を悪化させないためにも、心臓に良いといわれる健康法を始めようと考えているのですが……。(70歳・男性)


 肥満、高血圧、高脂血症、高血糖は、心臓病の原因になる危険因子です。この危険因子が2つ、3つと増えて重なっていくごとに、心臓病のリスクは格段に上がります。その点からも、心臓の健康を考えて、肥満や生活習慣を改善しようと心がけることは大切です。

 しかし、正確な医療情報に基づいた方法でなければ、逆効果になってしまうケースがあります。

 先日、聞きかじった方法を続けたために、深刻な病気を招いてしまった患者さんがいました。

 その患者さんはもともと高血圧の持病があり、降圧剤を服用して血圧をコントロールしていました。しかし、どこかで「血圧を下げるには漢方薬がいい。副作用もなく、効果も高い」といった情報を見聞きして、自己判断で漢方薬を飲み始めたのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。