独白 愉快な“病人”たち

元俳優 山本陽一さん(45) 劇症心筋炎 ㊦

山本陽一さん(C)日刊ゲンダイ

 退院後、医師から「ダンプカーに軽自動車のエンジンを積んでいると思ってください」と言われました。劇症心筋炎で心臓が半分死んでしまいましたからね。以前は「筋肉番付」に出演していたくらいで、体力には自信がありました。まさか自分が、風邪のような症状から死にかけるなんて思いもよらなかった。

 入院中も咳がきっかけで心臓発作を起こし、目の前が真っ暗になったことが何度もありました。ナースコールを押した後、意識を失い、看護師さんが来た頃には瞳孔が開いていたと……。目をつむったらこのまま目が覚めないんじゃないかと思って、まぶたを閉じることが怖くなりました。

 劇症心筋炎は救命率が50%。進行が速くて、死んでから病名が判明する場合も多いそうです。それだけに専門医に出会えたことは幸運でした。

 ベッドで起き上がれるようになったのは入院20日後。それからはリハビリです。病院の窓からビッグマックの看板が見えてウマそうでね。仮退院の時は内緒で食べちゃいましたよ。

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