医療数字のカラクリ

糖尿病患者がアスピリンを使う効果と副作用

 血液をサラサラにしてくれる薬として広く使われているアスピリンですが、糖尿病患者に対する効果はどうなのでしょう。その前に、そもそもアスピリンが「血液をサラサラにする薬」というのは誰が言い始めたのでしょうか。あまり正確な表現とはいえません。アスピリンは血小板に作用して血液を固まりにくくする薬です。血を固まりにくくする作用があるので、出血しやすくなるという副作用が避けられません。治療効果を期待する半面、脳出血が増えたり、胃潰瘍からの出血が増えたりする副作用が、その効果を上回っていないか、きちんと吟味する必要があります。

 これまで脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことがある人の再発予防に関しては、再発予防効果が出血の害を上回ることが示されています。逆に、これまで何も病気がないような元気な人では、予防効果より害の方が上回る可能性が指摘されているのです。

 糖尿病の患者さんはその間にあり、果たしてアスピリンの予防効果が副作用を上回るかどうか、きちんと検討する必要があります。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。