医療数字のカラクリ

糖尿病患者がアスピリンを使う効果と副作用

 血液をサラサラにしてくれる薬として広く使われているアスピリンですが、糖尿病患者に対する効果はどうなのでしょう。その前に、そもそもアスピリンが「血液をサラサラにする薬」というのは誰が言い始めたのでしょうか。あまり正確な表現とはいえません。アスピリンは血小板に作用して血液を固まりにくくする薬です。血を固まりにくくする作用があるので、出血しやすくなるという副作用が避けられません。治療効果を期待する半面、脳出血が増えたり、胃潰瘍からの出血が増えたりする副作用が、その効果を上回っていないか、きちんと吟味する必要があります。

 これまで脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことがある人の再発予防に関しては、再発予防効果が出血の害を上回ることが示されています。逆に、これまで何も病気がないような元気な人では、予防効果より害の方が上回る可能性が指摘されているのです。

 糖尿病の患者さんはその間にあり、果たしてアスピリンの予防効果が副作用を上回るかどうか、きちんと検討する必要があります。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。