レジリエンス高め若々しく生きる

チョコレートが「酸化」を抑える

 レジリエンス(回復力、抗病力)を身につけるには、体の「酸化」を防ぐことも大切です。

「酸素は“毒”である」と言うとみなさんは驚かれるかもしれません。もちろん人間は酸素がなくては生きていけません。人間は酸素を取り込んで、ミトコンドリアという工場でATPというエネルギーをつくります。この際、「活性酸素」という細胞毒がどうしてもできてしまうのです。

 ミトコンドリアから漏れた活性酸素は、遺伝子を障害してがんをつくります。前立腺肥大、高血圧、動脈硬化、認知症、病的な老化など、ほとんどの病気に活性酸素が関係しています。ろうそくは、酸素があると激しく燃えますが、それだけろうそくの寿命は短くなるともいえます。これと同じことが私たちの体でも起こっているのです。

 一般的にラットの寿命は3年ですが、100%酸素の存在下ではわずか3日で死んでしまいます。私たちは酸素がなくては生きていけませんが、同時に酸素を吸うことで体をさびつかせたり、老化させたりする矛盾を抱えているわけです。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。