しなやかな血管が命を守る

血管形成術の成功率は8割

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(写真左)/(C)日刊ゲンダイ

「バイパス手術」は人工血管や患者さん自身の血管を用いて血管をつなぎ合わせ、詰まった場所を迂回する別の道(バイパス)を作ります。

 しかし、今はよほど長くて複雑でない限り、血管内治療である経皮的動脈形成術(PTA)が一般的に行われます。先端に風船(バルーン)が付いたカテーテルを血管内に通し、狭くなっている部分でバルーンを広げ、動脈硬化部位を押しつぶして血管内腔を広げるのです。総腸骨動脈や大腿動脈ではステント治療を併せて行うことがほとんどです。これはステントという円柱形の網目状金属を、カテーテルを使って血管内に植え込みます。ステントを留置することで、血管を内側からしっかり支えて血管を広げます。

 ステント留置の血管形成術の成功率は平均で8割くらい。1年後の再狭窄率は総腸骨動脈で5~10%、大腿膝窩動脈では30%くらいです。最近の血管細胞の増殖を抑える薬剤溶出ステントでは、再狭窄は大腿膝窩動脈でも20%以下となってきています。

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