Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【中村紘子さんのケース】 大腸がん メタボな食生活が引き金に

 それが功を奏したのか、今年3月からステージに上がり、6月には本格復帰を宣言。治療と並行して、月2~4回の演奏会を開いていくと報じられました。「完治するか、がんと共存していくか。先のことは分からないが、病気を楽しむくらいの気持ちでやっていきたい」と気丈に語っていたのが印象的です。

 それが一転、活動休止期間の延長ですから、病状が良くないことがうかがえます。詳しい病状は分かりませんが、読者の皆さんも注意するに越したことはありません。

 大腸がんは、数あるがんの中でも生活習慣病的な要因が強く、患者数が急増しているのです。今年の予測で、部位別がん患者数は約13万6000人でトップ。死亡数は、男性は約2万7000人で3位ですが、女性は約2万3000人で最悪。今後も患者数がさらに増えるとみられているのです。

 どんな生活習慣が影響しているかというと、いわゆるメタボに結びつくような食生活がよくありません。肉や揚げ物など高脂肪、高カロリーの食事です。アルコールの飲み過ぎもいけません。運動不足もリスクを高めます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。