医療数字のカラクリ

標準的な治療を保険診療の範囲内で行うのが先決

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その意味で体験談に基づく治療というのは、あくまでもさまざまな選択肢のひとつに過ぎないと考えるのが、現実的だと思います。

 また医療という視点に限っても、「だまされてもいいから、これにかけてみたい」という、弱みにつけ込む怪しげな民間療法は星の数ほどあります。そんな医療に大金をつぎ込むのであれば、まず標準的な治療法を保険診療の範囲で行うのがおすすめです。標準的な治療以前に「体験談に基づく治療をする」ようなことは、やめたほうがいいと思います。

 今後は、この標準的な治療というものが、どのように効果を検討しているのか、詳しく説明していくつもりです。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。