天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

薬とうまく付き合ってコレステロールを下げる

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 心臓病を予防するためには、薬とうまく付き合っていくことも重要です。

 薬を飲むに当たって前提になるのは、まず「症状がある」ということです。そして、血液検査の結果に症状を裏付けるデータが出ているかどうかを確認して、そのデータをもとにどんな薬を処方するかを決めるのが一般的です。ほとんどの医師は、「症状」と「生検体(血液や尿など)」で薬を決定しているのです。また、処方した薬が効果的に作用しているかどうかを確認するのも、「症状」と「生検体」です。症状と血液検査のデータを見て、問題になっていた数値がしっかりコントロールされていれば、その薬は合っていると判断できるのです。つまり、薬を飲む人は定期的な血液検査を欠かしてはいけないということになります。

 では、心臓病予防のために中高年男性が最も重視してコントロールしなければならない危険因子は何かというと、「コレステロール」です。いまが働き盛りの40~50代の中高年の血液検査と、現在80~90代の高齢者が働き盛りだった40年ほど前の血液検査の結果を比べてみると、決定的に異なっているのはコレステロール値です。いまが働き盛りの中高年は、食生活や体質を含めてコレステロール、とりわけ悪玉コレステロール(LDL)の数値が高いのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。