天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「リスクコア」を提示して丁寧に説明する医師は信頼できる

天野篤順天堂大学教授(C)日刊ゲンダイ

 4月から順天堂医院の院長に就任いたしました。これまで以上に、安心、安全で皆さまに満足いただける医療を提供していくよう尽力しなければと気持ちを新たにしています。

 昨年、各地の大学病院や総合病院で、手術を受けた患者さんが何人も亡くなる医療事故が相次いで発覚しました。いずれも、通常であれば考えられないようなむちゃな手術が数多く行われていたことが分かっています。

 患者さんにとって、手術は失敗すれば命に関わるような重大事です。自分の身を守るためには、手術を勧められ、受けることを決断するまでに、本当に自分の身を任せられるのかどうかを見極める必要があります。

 まず、手術の前に「医師からどんな説明を受けたか」が重要です。心臓の手術に限っていえば、医師が「リスクスコア」という指数を提示しながら、治療の詳しい内容、期待される結果や予後について適切な説明を行っているかどうかを確認しましょう。リスクスコアというのは、患者さんの状態によって手術の危険度がどの程度かを示す指数で、「ジャパンスコア」や「ユーロスコア」といった1万~10万例ほどの患者を分析したさまざまな解析モデルがあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。