■問われる外科医の存在意義
たとえば、国が投資してAIを購入し、クラウド化して全国どこの施設でも同時に使えるようなシステムを提供する形になれば、各施設が負担する経費や支出は必要なくなります。もちろん、現時点では国がそうした方向でハードを整えるつもりがあるかどうかもわかりません。しかし、もしそうなれば、AIによる外科治療が加速度的に進歩していく可能性は高いでしょう。
そうした世の中が現実になったとき、自分の手技を磨いて手術を行ってきた外科医の存在意義があるのかというと、おそらく従来型の外科医は必要なくなるはずです。患者さんにとっては、最先端の技術による治療を高くない費用で受けられるうえ、想定通りの治療効果を得られることがベストです。その利益を受けられるのであれば、手術をするのが人間かロボットかは関係ないといえます。
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