「地方自治体任せの日本とは大違いです。例えば東京都監察医務院では、13人の常勤医と56人の非常勤医で年間1万4000人のご遺体を検案しています。急速に進んでいる超高齢社会で、今後、遺体はさらに増える。地方自治体それぞれに予算の制約がある中、全国でしっかり制度を確立するためには国の支援が必要なのです」(福永院長)
予算不足というと莫大な金額をイメージするが、福永院長によると、国民1人あたり年間200円の支援で、国中に監察医制度を張り巡らせることが可能だという。
「死因がきちんとしていないと、日本人の死因統計も不正確になる。それは、未来の日本の医療を危うくすることにつながります。『死体の検案、解剖は人の受ける最期の医療』であり、『一人一人の死を万人の生につなげる』大事なものです。これは、国がきちんとやるべき仕事ではないでしょうか」(福永院長)
それとも国は、国民の死因を完全に明らかにすると、“不都合な真実”に行き当たることになるとでも考えているのだろうか?
どうなる! 日本の医療