肥満より死亡率が上昇 高齢者の「低体重」はこんなに危険

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 低体重には、命に関わる心臓や脳の病気につながる要因がいくつもあるのだ。

「そもそも、筋肉と脂肪には高齢者を病気から保護する効果があり、どちらも減っている低体重の人は、それだけでさまざまな病気にかかりやすくなってしまうという報告があります。さらに、低体重で栄養状態が悪い人は、免疫力が低下して肺炎、結核、帯状疱疹などの病気にかかりやすくなる上、回復力が遅いことも死亡リスクをアップさせてしまうのです」(東丸教授)

■認知症につながる可能性も

 また、米国の研究では、中年期から高齢期にかけて10年ごとに体重が約5キロ減少すると、知的能力が低下するリスクが24%アップすると報告されている。高齢になって体重が大きく減ると、記憶力や思考力が低下し、認知症につながる可能性があるという。

 食欲がなくて食べられないという高齢者に、食事を食べてもらうのは簡単ではない。

 まずは、低体重にならないように、食べることが命に直結している点を意識してもらいながら、“食べる楽しみ”を取り戻せるように、周囲が一緒に取り組む。これが低体重を防ぐ第一歩になる。

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