ホモグラフトは弁の周辺に血栓ができにくく、術後に血液をサラサラにする抗凝固剤を飲み続けなくてもよいというメリットがあります。また、細菌などの感染に強いため、感染性心内膜炎など感染性の疾患に対して優れています。しかし、現在の日本では外国ほど臓器提供が普及していないことから限られた施設でしか入手が困難です。東日本では東大病院、西日本では国立循環器病研究センターにある「ホモグラフトバンク」に問い合わせ、提供してもらえる状況でない限り、使うことができません。そのため、一般的な治療には使用されていないのが現状です。
そうした状況もあって、近年はホモグラフトがなくても対応できる術式が工夫されています。ホモグラフトが活躍するのは、感染性の心臓病やロス手術がほとんどですが、代用血管や感染症対策の進歩によって、ホモグラフトでなくても乗り切れるようになってきているのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」