数字が語る医療の真実

終末期の呼吸困難患者にモルヒネは有効なのか

 前回、「終末期の患者さんの呼吸困難に酸素の効果はなさそうだ」という研究結果を紹介しました。では、終末期の患者さんに効果のある治療はないのでしょうか。

 そこで今回は、呼吸困難に対する「モルヒネの効果」を検討した研究結果を紹介しましょう。この研究は、複数のランダム化比較試験を統合したメタ分析という方法を用いています。たまたま良い結果が出たかもしれない一つの研究結果ではなく、多くの研究を統合して検討していますから、より信頼性が高い方法といっていいかもしれません。ただ、一つ一つの研究の質が低ければ、全体としての結果も怪しくなり、メタ分析の結果であれば大丈夫というものではありません。

 この論文では18の研究を合わせて、終末期の呼吸困難のある患者に対するモルヒネの効果を検討しています。このうち7つの研究では呼吸困難症状の改善の度合いで効果を検討していますが、モルヒネ投与したグループと投与しないグループでは、改善の度合いはほとんど変わらないという結果でした。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。