数字が語る医療の真実

終末期の呼吸困難患者にモルヒネは有効なのか

 しかし、投与後の呼吸困難のスコアの点数そのものを比較した11の研究の統合では、モルヒネグループのほうが0.3点ほど呼吸困難の症状が少ないというものでした。ただ、この0.3点というのは呼吸困難を10点満点で表した時の差ですから、極めて小さい差に過ぎません。実臨床では、1点以上の差がなければ症状が良くなったとは実感しにくいと思われます。

 さらに、この分析に使われた一つ一つの論文の質は低く、さらなる研究が必要だと述べられています。大きな効果を期待できないということは明らかなように思われます。呼吸困難の対処は、酸素やモルヒネではなかなか難しいのです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。