大きな問題は建物の老朽化です。ベトナムはもともと地震がない国で、いまでも1920~30年ごろのフランス植民地時代に建てられた建物が使われています。歴史的な遺産としては非常に価値のある建物と言えますが、最新の医療を行う病院としては適当ではありません。最新の医療機器を導入して、最新の治療を行うとなると、管理面や衛生面も含め、総合的に厳しいと言わざるを得ません。近代医療を行うためには、まず病院の建物を近代化する必要があるのです。
また、最新の医療診断機器も不足しています。日本のODAなどの政府開発援助で医療機器は導入されていますが、まだまだ数も質も足りていません。高解像度の検査画像を撮影できる320列CT、精度が高く患者さんの負担が少ない最新鋭の内視鏡、3D内視鏡を備えた手術支援ロボット、安全装置がたくさん付いた人工心肺、手術台と心血管X線撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室など、最新医療を行うために導入すべき機器はたくさんあります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」