罹患数予測トップ 前立腺がんは切らずに放射線治療で治す

治療しない方が健康に暮らせるケースも(提供写真)

■手術と治療成績は同じ

 そんななか、改めて注目されているのが“切らずに治せる”放射線治療だ。すでに複数の臨床試験を併せて分析した結果、限局性前立腺がんの生存率は手術と同等とわかっている。

 前立腺がんの放射線治療というと、マスコミは電子よりも重い「重粒子」や「陽子」をがんにぶつけて破壊する「粒子線治療」をもてはやしてきた。しかし、治療費が高いうえ、設備が大掛かりで受け入れる患者数に限りがある。

 一方、従来の放射線治療機(ライナック)では正常な細胞に影響を与える可能性がある。直腸のガスや膀胱の貯尿量などで前立腺は日々、位置が変わるからだ。患者の皮膚にマーキングして、そこに向けて照射するライナックでは、微妙なずれが発生する恐れがある。

「そこで、より高い治療効果が得られる放射線治療としてトモセラピーへの関心が集まっているのです。トモセラピーはIMRTにCTを組み合わせたような放射線治療機です。治療のたびにCT画像で患部を正確に知ることができるうえ、360度あらゆる方向からピンポイントで細い放射線を当てます。結果、周辺の正常組織を損なうことなく、患部に強い照射ができるのです。都内では当院を含め、4施設しか設置されていませんが、費用も粒子線に比べればかなり安い」(黒崎部長)

3 / 4 ページ

関連記事