独白 愉快な“病人”たち

即死レベルから11年 小西博之さんががんを受け入れるまで

手術の痕を見せる小西博之さん(C)日刊ゲンダイ
俳優57歳<腎臓がん>

 今の僕があるのは欽ちゃん(萩本欽一氏)のおかげです。かつて、欽ちゃんから教わった「人生の幸と不幸は50対50」という言葉がすべてだと思っています。生きていれば半分は悪いことが起こる。でもそれを受け入れて、とことん落ち込めばいい。ダメなときはしょうがない、笑っとけってね(笑い)。

 人生は波のようなものだから、ググッと深いところへ持っていかれることもあるけれど、必ずまた上がることができる。ダメな間は、体を楽にして波に身を任せていればいい。ただ、「上がったら何をしようか」と考えておくことが大事なんだと教わったのです。正直、当時20代の僕はあまりピンときていませんでした。でも、病気をして“ああ、こういうことだったのか”と納得しました。

 12年前、腎臓がんで死にかけました。大げさではなく、進行度合いを表す「ステージ」なんてものは通り越して、医師には「即死レベルです」と言われました。左の腎臓にできたがんが20センチにまで肥大し、腎臓に圧された脾臓もパンパンに膨れていて、いつ破裂してもおかしくないという状態でした。それが2005年1月のことです。

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