Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【胃がん対策】家族で除菌 早期発見より確実な予防を

胃炎なら保険でOK(C)日刊ゲンダイ

 欧米のピロリ菌感染率は、日本の半分以下。欧米で胃がんは、白血病より珍しいがんになっています。日本だと、昨年、白血病を発症したのは約1万3800人で、胃がんの10分の1。除菌治療が広がると、胃がんで苦しむ方は確実に減ることが予想されるのです。

 自治体などが将来の予防として中学生の除菌に力を入れるのはもちろん大切ですが、目先の対策として欠かせないのはピロリ菌の感染者が多い成人の除菌でしょう。胃潰瘍や胃炎などがあれば、保険で治療が受けられます。

 胃がんを心配されるなら、家族で除菌をしてみてはいかがでしょうか。子宮頚がんと肝臓がんについても同様で、感染が原因のがんは予防が一番です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。