天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

インフルエンザは心臓にとって大敵になる

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 米国医師会雑誌「JAMA」には、心臓疾患の発症リスクが高い人を対象にしたインフルエンザの予防接種と心血管系イベントとの関連を再解析した報告があります。それによると、インフルエンザの予防接種を受けたグループは、受けなかったグループに比べて心臓疾患の発症が36%も低いという結果でした。米国心臓協会と米国心臓病学会も、心臓疾患を抱えている患者には、再発予防のためにインフルエンザの予防接種を推奨しています。

 つまり、インフルエンザへの感染は、それだけ心臓にダメージを与えるということです。無自覚のまま心臓疾患のリスク因子を抱えている人はたくさんいます。心臓にトラブルがある人はもちろん、高血圧、高血糖、高コレステロール、肥満などを指摘されている人は、インフルエンザを徹底的に予防することを心がけましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。