テストや検査で異常でも 医者の「認知症診断」増える誤診

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 たとえ、中核症状や周辺症状と似た症状があり、画像検査や長谷川式テストで異常となっても、「大原則」から外れていれば認知症ではないのだ。

「Aさんの場合は、突然症状が出ていた。トイレ以外の場所での排泄は重度の認知症で見られますが、突然、出てくることはあり得ません」

 Bさんの場合も、ある時期から急に物忘れが目立つようになっている。さらに倦怠感や食欲低下も、認知症の初期や中等症では見られない。

 近年、認知症の誤診が増えている。認知症の症状がよく知られるようになり、専門医以外の医師が「この年齢で、この症状なら認知症」と安易に診断するからだ。

 高齢者は、風邪や栄養失調などちょっとした身体的不調でも、認知症にそっくりな記憶障害や妄想などが出ることがある。身体症状が悪ければ、長谷川式テストの結果も悪くなる。だからこそ別のさまざまな身体疾患を想定し、慎重に検査し、診断しなくてはならない。

3 / 4 ページ

関連記事