テストや検査で異常でも 医者の「認知症診断」増える誤診

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 同じくアルツハイマー型認知症と診断された75歳のBさんは、上田医師が行った血液検査で誤診が明らかになった。

 Bさんは1年前から倦怠感が続き、1カ月前から物忘れがひどく、食欲が著しく落ち、救急車で運ばれた病院で認知症の疑いがあると診断されていた。血液検査の結果、認知症ではなく、甲状腺機能低下症と分かり、専門病院での治療が始められた。

 認知症は、記憶障害、日付や場所の間違い、家事ができない、道が分からないなどの「中核症状」と、うつ状態、怒りっぽさ、妄想、幻覚などの「周辺症状」が特徴だ。

 認知症の診断では、問診で中核症状や周辺症状をチェックし、MRIやCTの画像検査、長谷川式など認知症診断のためのテストが行われる。しかし、これらだけで単純に認知症を判断しようとすると、重要な「大原則」が抜け落ちる。

「ほとんどの認知症は、周囲がはっきり分からないうちに症状が顔を出し、非常にゆっくりしたスピードで進行します。本人や周囲が困る症状として少しずつ顕在化する。これが大原則です」

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