数字が語る医療の真実

前立腺がんはがん検診に向いていない

 この連載を読んでいる人は男性が多いでしょうから、乳がんでなく、男性のがんについて取り上げてほしいという意見もあるでしょう。そこで今回は、前立腺がんです。

 前立腺がんは、高齢者により多く、最も進行の遅いがんの一つです。さらに、病院で亡くなった人を解剖して調べてみると、20%以上の人でその人の生死には関係のない前立腺がんが見つかります。

 こうした前提条件からすると、前立腺がんは、そもそも最もがん検診に向かないがんであることが分かります。たとえば、高齢になってから前立腺がん検診で見つかったがんは、放っておいてもその人の生き死にに関係なく、そのがんが進行する前に別の病気で死んでしまう可能性が高いからです。

■「早く見つける方がいい」とは言えない

 また、「50歳、60歳で見つかれば、意味があるのでは」と考える人もいるかもしれません。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。