天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓を鍛えるには心拍数130を超えない適度な運動が重要

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

「これ以上、負荷がかかると危ないぞ」というところで、胸痛などの自覚症状が出る人もいます。健康な人は、大きな負荷をかけると苦しくなって、心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクします。これが、一般的な最大負荷といえます。しかし、心臓にトラブルを抱えている人は、その一歩手前の亜最大負荷で止めなければいけません。自覚症状が表れるのは負荷がかかり過ぎているケースも多いので、やはり小まめに心拍数を計測しながら運動するようにした方がいいでしょう。

■まだ寒い日は早朝に注意

 また、心臓リハビリの一環として、早朝からウオーキングをしている人も注意が必要です。だいぶ暖かくなってきましたが、3月から4月にかけては、朝晩になるとまだ寒かったり、急に冷え込む日もあります。また、太陽が完全に沈んでいる真夜中よりも、日射量の少ない日の出直後の1時間くらいが最低気温になることも多いので、その時間帯の運動には気を付けなければなりません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。