死亡者はHIVより多い 「結核」は“現在進行形”の病気だ

菌は海外からも入ってくる(C)日刊ゲンダイ

「結核は早期に診断を受けて適切な治療を受けられれば、10例中9例は治せます。ところが調査では、世界的に見ても治療につながる人の数はずっと横ばいのまま。結核患者の多くは診断にアクセスできていない」(「ストップ結核パートナーシップ」事務局次長のスヴァナンド・サフ医師)

 その理由は、「過疎地で治療を受けられる病院へのアクセスが悪い」「国の資金力がないために対応がうまくできない」「病院にたどり着いても十分な診断ツールがない」など、さまざま。「いずれも海外の問題。日本では結核対策が十分に行われているのではないか」と思う人もいるだろう。たしかに、結核で特に問題になっているのは途上国だ。

「しかし、日本は国内では結核の発症率は下がっていますが、ほかの先進国に比べると高い。また、日本国内の結核対策だけでは不十分。今は、国から国へ、容易に、頻繁に移動する時代だからです」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金シニア疾患コーディネーター結核担当のエルド・ワァンドァロ医師)

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