依存症治療に変化 飲酒やめずに「減酒外来」という選択も

飲酒をやめずにお酒の“失敗”をなくす(C)日刊ゲンダイ

「自覚がない軽症のアルコール依存症患者にも対象を広げ、治療を行っていく必要がある。減酒外来は、治療選択の幅を広げるのが目的です」

■飲み方が気になっている人すべてが対象

 減酒でどれほどの効果があるのか? 実は、それは複数の研究で証明されている。

「『飲酒量を減らすことが健康度を上げることに有効』や『依存症と診断された人が、適度な飲酒や危険でない飲酒を実践することで、飲酒量の減少への実現の可能性が高くなる』などです」

 減酒がアルコールによる死亡率を減少させるという報告もある。

 日本でのアルコール依存症の患者は、107万人と推計されている。ところが、治療を受けている人になると、わずか4%ほど。「断酒させられる」「アル中といわれる」といったイメージが受診率の低さにつながっていると、樋口院長らは考えている。つまり、重症度を顧みず、すべてのアルコール依存症患者に一律の治療を行うことは、かえって治療を妨げる原因になっているのだ。

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