数字が語る医療の真実

【かっけ】原因不明でありながら治療法が先に確率

東京慈恵会医科大学は高木兼寛が創設(C)日刊ゲンダイ

 英国で医学を学んだ彼は、動物実験というような方法ではなく、実際の現場のどこでかっけが多く、どこでかっけが少ないかというような疫学的な手法を用い、かっけの原因を明らかにしようとします。そこに、原因が究明される前に治療が開発される秘密があります。

 彼がまず注目したのは、龍驤という軍艦の乗組員278人のうち161人がかっけに罹患し、そのうち25人が亡くなり、他の軍艦よりも患者や死亡が多いという事実でした。ここからかっけがどのように克服されていくのか。次回のお楽しみです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。