がんと向き合い生きていく

「悪性リンパ腫」には様子をみていいタイプもある

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 高校生のKさん(18歳・女性)は、それまでこれといった病気の兆候はありませんでした。大学受験が終わって結果を待っていたある日、母親がKさんの首が腫れているのに気づきました。触ってみたところ、かなり大きな塊がいくつも首の両側にみられました。

 Kさん本人は、熱も痛みもなく元気そうに見えましたが、近くの医院に連れていきました。すると、医師からすぐに大きな病院へ行くように告げられ、紹介状を書いてくれたといいます。そして、私のところに診察に来られたのです。

 Kさんは両側の頚部、腋下も腫れており、しこりは大きいもので2・5センチほどありました。CT検査では腹部以下には腫瘍は認めませんでした。私は「小さいものを1個だけ取って詳しく調べる必要があります」と説明し、生検を行いました。

 病理診断は「悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)・瀰漫性B細胞型」でステージⅡという結果でした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。