がんと向き合い生きていく

乳がんは手術から20年後に転移する場合もある

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 乳がんの症状は、しこり、血の混ざった分泌物、ひきつれなどで自覚されることがあります。症状がなくても、検診のマンモグラフィーで指摘されることもあります。マンモグラフィーやエコー検査後、生検や吸引細胞診で診断されます。病気の広がりをCTや骨シンチグラム(骨転移の有無)などで検査して、病期(ステージ)が決まります。特に乳がんは進行すると、他のがんに比べて骨転移が多く認められます。

 ステージにもよりますが、乳がんの治療は手術だけではなく、早期がん以外は手術前、手術後の化学療法、ホルモン療法なども治療の大切な部分を占めます。治療方針の決定にあたっては、がんの生検組織、あるいは手術した組織でがんを確定するだけでなく、ホルモンが効くがんなのかどうかを知るため、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体の有無を調べます。

■5年経過しても定期的な検診は必要

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。