亜鉛不足の原因はさまざまだ。食品からの摂取不足もあれば、過敏性腸症候群やクローン病などによる吸収障害もある。糖尿病や慢性肝疾患、慢性腎障害などの疾患は亜鉛の排出増加を招く。高齢者では多剤併用の人も多いが、薬剤の長期服用も排出増加につながる。
厄介なことに、味覚障害に気付きにくい。
「特に一人暮らしの人や、個食・孤食が日常的な人は、指摘してくれる人がいないので自覚しづらい」(平澤医師)
■知らないうちに高塩分食に
そもそもこういった人は好みのものしか食べず、偏った食事から亜鉛不足になりやすい。
そうでなくても、現代はインスタント・レトルト食品やファストフード主体の食生活が普通になっている上、食材そのものに含まれる亜鉛量も減っている。現代は亜鉛が摂取しにくい環境なのだ。「自分は大丈夫」と思わず、塩や砂糖をなめるなどして、「味が分かっているか」を一度はチェックした方がいい。