皮膚を科学する

肝臓や腎臓の病気で皮膚に「かゆみ」が表れるのはなぜ?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 脳のかゆみ制御には、体内の「オピオイドペプチド」と呼ばれるモルヒネに似た物質が関係する。その物質には複数の種類があるが、かゆみを起こす「ベータエンドルフィン」と、かゆみを抑える「ダイノルフィン」がバランスを保っていれば、かゆみは出ない。ところが肝臓病や腎臓病があると、ベータエンドルフィンが増えてしまうのだ。

「中枢性のかゆみは皮膚の異常が原因のかゆみと違って、脳が直接刺激されて感じるかゆみなので全身がかゆくなり、かいても治まりません。抗ヒスタミン薬などの一般的なかゆみ止めは効きにくいので、治療では『k受容体作動薬』という薬が使われます」

 腎不全で透析を長い期間続けていると皮膚が黒くなる。これは皮膚を黒くするメラニンを作るホルモンが増え、色素沈着を起こす物質を排出できなくなるからだ。そして、急性肝炎や肝硬変が進むと皮膚や白目が黄色くなる。いわゆる「黄疸(おうだん)」だ。

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