そんなBさんを救ったのが庭に咲いていたコスモスでした。ある日、台風が来てコスモスはすべてなぎ倒されてしまいました。Bさんは手入れする気にもなれず、そのまま放っておいたそうです。
「しかし数日後、倒れたコスモスの先端が再び太陽に向かって垂直に伸び、花を咲かせたのです。そんなコスモスを見ていたら、『もしかしたら自分も治るかもしれない』という思いが胸をよぎりました」
また、化学療法で髪の毛がごっそり抜けた時は、雨上がりに山にかかった2つの虹を見て、「悩んでいてもしょうがないのかな」と思ったといいます。
治療を続けている間、家族から「元気出して」とか「頑張って!」という言葉をかけられると、「あなたみたいな元気な人に私の苦しみが分かるものですか」と言い返して泣いたこともあったそうです。「しっかりしないといけない」「家族に申し訳ない」と思いながら、かえってますます孤独になり、つらくなったといいます。
がんと向き合い生きていく