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アメリカの平均寿命は78.6歳に 2年連続で短くなった理由

先進国中、唯一国民皆保険でない(C)AP

 ちょうど1年前、「アメリカの平均寿命が22年ぶりに短くなった」とお伝えしました。その傾向は進み、先日発表された2016年の平均寿命は78.6歳で、前年に比べさらに0.1歳短くなりました。

 その理由として今年大きく注目されたのは、増加する一方の「オピオイド系ドラッグの過剰摂取死」です。医師が処方するオピオイド系の強い鎮痛剤への依存症になり、やがて「ヘロイン」や、もっと強く危険な合成オピオイド「フェンタニル」などに手を出すようになる。その結果、ドラッグ過剰摂取死の数は00年以降の15年間で2.5倍に増加し、深刻な社会問題になっています。

 もうひとつの死因として注目される「自殺」も同じく15年間で3割以上増加しました。16年の自殺による死者は4万5000人に上り、オピオイド系の麻薬過剰摂取死4万2000人を上回っています。

 自殺は絶望死とも呼ばれ、これによって平均寿命が下がり続ける可能性も示唆されています。その原因として指摘されているのは、深刻化する貧困です。裕福なアメリカ人の寿命は1980年の83歳から16年には89歳まで延びたのに対し、貧困層は76歳のままで止まっています。

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シェリー めぐみ

横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

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