数字が語る医療の真実

ビタミンEとβカロテンの抗酸化作用

アーモンドはビタミンEを多く含む(C)日刊ゲンダイ

 しかしこの研究から20年以上を経て、世の中はいまだ抗酸化作用ががんや動脈硬化を予防するという理屈だけに基づき、ビタミンEやそれに代わる抗酸化物質を含め、多くのサプリメントが飲まれています。

 かっけの歴史に見たように、論より証拠、論より事実というのが歴史を振り返った時に明らかなわけですが、なぜ効くのか理屈がわかっていなくても、事実としてかっけを治したビタミンB1が延々治療薬として認められなかった歴史は、ここでは理屈だけがわかっていて、事実として効果が示されていないものが逆に広く使われるという形で繰り返されています。

 我々は、今こそもう一度かっけの歴史にしっかりと学ぶ必要があるのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。

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