生活と健康 数字は語る

「高齢者の肥満が少ない」という統計の本当の意味

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに、70歳以上(28.6%)と比べてみると、「今の70歳以上」は「今の50歳代」より肥満者の割合が低いとはいえます。また、50歳から70歳以上にかけて人は死んでいきますから、この違いは単に昔と今の違いだけでなくて、中年で太っている人が死んでしまうために、高齢者の肥満者の割合が低くなっているかもしれないのです。

 年齢ごとの肥満者の割合という単純な数字でさえ、なかなか正確に読み込むのは難しいのです。逆に言えば、数字で人をだますことは、少しの知識があれば、案外簡単ともいえるのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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