深刻な感染症を媒介 豪雨の後は「蚊」の大量発生に要注意

蚊を侮ってはいけない(C)PIXTA

「蚊は最も人を殺す生物」であり、世界中で年間72万5000人がその犠牲になっている。

 実際、蚊が媒介して人が発症する深刻な病気は多い。マラリア、ウエストナイル熱などは日本人にはピンとこないが、デング熱がヒトスジシマカにより国内流行したのは4年前で記憶に新しい。海外で流行のジカ熱もヒトスジシマカにより媒介されるが、妊娠初期の女性がこの病気を発症すると小頭症の子供が生まれる確率が高くなることが知られている。しかし今回、特に注意すべきはコガタアカイエカだ。

「昼間は水田や雑草の茂みなどに潜み、日没後に活動が活発になります。日本脳炎ウイルスに感染した豚や鶏の血を吸ったコガタアカイエカが人を刺すことで、人に日本脳炎ウイルスを感染させます」

 日本脳炎は以前、抵抗力の弱い子供や高齢者に見られた病気で、蚊に刺されて7~10日で突然、高熱、頭痛、嘔吐などの症状を示し、意識障害やまひといった神経系の障害などの急性脳炎を引き起こす。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。

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