患者が語る 糖尿病と一生付き合う法

原因不明の高血糖状態…深夜の微熱の正体は肺結核だった

平山瑞穂さん(C)日刊ゲンダイ

 もっとも僕はかなり初期の段階だったようで、セキも出ていなかったし、そのおかげでなかなか菌を検出することができず、かえって苦労させられた。死ぬほど苦しい気管支鏡検査(胃カメラのようなものを気道から肺に入れる)を経てようやく、肺結核との確定診断が下された。

 幸いに排菌(菌を排出すること)はしていなかったので隔離病棟行きは免れ、9カ月間の投薬のみで治療が完了したのだが、今なお経過観察中の身ではある。

 日本において結核というのは、実は今でも「現在進行形の病気」らしい。ただ昔より衛生状態・栄養状態が格段に良くなっているので、仮に感染していても発症には至らないケースが大半なのだそうだ。

 糖尿病患者である僕は、免疫機能が弱まっている。そのせいで、普通ならはねのけられたはずの菌を、どこかでもらい受けてしまっていたのである。

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平山瑞穂

平山瑞穂

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

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