独白 愉快な“病人”たち

筋ジストロフィーの小澤綾子さん「歌うことが生きる力に」

会社員で歌手の小沢綾子さん(C)日刊ゲンダイ

■人はどんな状態でも何でもできると教えられた

 極め付きは「歌」です。同じ病気で30年間寝たきりの友人が、私に「ボクの歌を君に歌ってほしい」と言ってくれたことが大きな転機になりました。CDをリリースし、仲間内の趣味だった歌が今は公の活動になったのです。

 初めてフェイスブックでその人を知ったときは、「さぞかし人生に絶望しているんだろう」と思いました。でも、本人の「歌作りが忙しくて時間が足りない」という充実したコメントを目にして衝撃を受けたんです。人はどんな状態でも何でもできるんだなと教えられました。ただ、「君に歌ってほしい。CDを作ろう」というメールをくれた2カ月後に彼は亡くなってしまいました。

 私は数年後の話だと思っていたけれど、彼にとっては“今”だったんだと気付いて、とても後悔しました。CD化した歌は彼に聞いてもらえなかったけれど、生まれて初めて私が歌うことに意味がある“私じゃなきゃダメ”なものを与えられました。それが、私の生きる力になったんです。

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