新薬2種類が承認間近…大きく変わる慢性便秘の治療最前線

定年で活動量が減るのも便秘増加の原因(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 ガイドラインの便秘の定義は、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」。排便回数が少ない(週3回未満)だけでなく、排便後スッキリしない(残便感)、便がバナナ状ではなくコロコロした便や水便、いきまないと便が出ない――などに該当するなら便秘と考え、内科や消化器内科を受診すべきだ。

 便秘の一般的な治療は、生活習慣の改善と薬物治療だ。薬は、依存性がある刺激性下剤は使わず(頓服的に使用する時を除く)、安全性が高いものを日常的に使う。

 ガイドラインが出た昨年は、便秘の薬といえば、酸化マグネシウムなど腸に水分を集め便を軟らかくする非刺激性下剤。酸化マグネシウムは1823年に日本にもたらされた古い薬で、臨床結果などの科学的根拠(エビデンス)はなく、用量を間違えると不整脈などのリスクがあった。

 エビデンスがある薬も承認されていたが、わずか2種類で、そのうち1種類は過敏性腸症候群の便秘に対してだった。しかし今年、慢性便秘症の適応追加承認が下り、過敏性腸症候群に限らず使えるようになった。それを含む3種類の薬が今年承認され、さらに近々、2種類の薬が承認される見通しだ。

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