天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

急性心筋梗塞は効果的な治療法が広まり救命率が上がった

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 かつて、心筋梗塞は発症してもヘタに手を出してはいけないといわれていました。人間の体には、血管が詰まっても、それを補うように別の血流路が発達するシステムが備わっていて、サポートするための新たな血流路は「側副血行路」と呼ばれています。そのため、心筋梗塞の患者に対しても介入はせず、自然の成り行きに任せて側副血行路が発達するのを待っていたのです。

 しかし、心筋梗塞に関するさまざまな治療データが蓄積されてきた結果、超急性期(発症してから4時間以内)の場合は治療をして一刻も早く血流を再開した方が治療効果が高いことがわかってきました。血管が詰まっている箇所をカテーテル、手術、薬物などで治療して血流を早期に再灌流させると、後遺症が少ないことが明らかになったのです。

■2次予防がどこまで進歩しているかを確認

 心筋梗塞の救命率が急速に上がってきたのは、そうした指標をベースにした心筋梗塞の新たな治療の取り組みを浸透させるキャンペーンがうまく機能した成果と言えるでしょう。

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