後悔しない認知症

「危ないから」「病気だから」と行動を制限してはいけない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「できることが少し減るだけ」

 高齢の親が認知症と診断されたとしても、子どもはこう冷静に受け止めることが大切だ。むやみに悲観したりあわてたりする必要などない。

 もしかすると現役バリバリだった頃の親を「あるべき親の姿」と考えて「いまの親」を受け入れられないという人がいるかもしれない。だが、自分の胸に手を当てて考えてみてほしい。「自分は若いころにできたことをいまでもできているか」と。通勤時に駅の階段を上り下りするとき、新聞を読むとき、固有名詞を思い出すとき、若い世代と話すとき……。さまざまな「衰え」を感じているはずだ。それが年を重ねるということなのだ。そんな自分自身の衰えを感じて、あなた自身は「俺はもうダメだ」と感じるだろうか。そんなことはないはずである。

 仕事のシーンで考えてみよう。いま40代以上のあなた自身も20代、30代のころのように体力、気力に任せた働き方はできない。あなた自身もさまざまな意欲の低下を感じているはずだ。だからといって、あなた自身は仕事のシーンで「厄介者」になっているわけではない。できることはまだまだ多いはずである。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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