小宮さんも一緒になって勉強した。
「男性の場合、医師に乳房の全摘を言われたら、『子供も大きくなったし、もうおっぱいは要らないだろう』と安易に考えがち。ですが、患者が納得した上の手術でないと意味はありません。本人が一所懸命に勉強しているのなら、こちらも勉強してあげなくてはいけません」
佳江さんの勉強の対象は、がんに限ったものではない。一般の市販薬についても、熱心に本を読んでいたという。
「僕が風邪をひいたとき、普通に風邪薬を手にとったところ、『風邪を根本的に治す薬はない』と説明されました。解熱剤や咳止めなど対症療法の薬はありますが、せっかく体が体温を上げてウイルスを排除しようとしているのに、それを邪魔してしまったら、体はちっともよくならない。だから僕は葛根湯を飲むようになった。とはいえ、熱が出たら飲んでも構いませんよ。ただし、がんに関してはやっぱり命に関わる病気ですし、単に生きるか死ぬかだけではなく、いわゆるQOL(生活の質)にも関わってきます。ですから、『先生のおっしゃることでお願いします』というのではなく、自分たちで勉強しなくてはいけないと思うのです」
がん発症の妻にしてあげた10のこと