■高齢者が必ず病と闘う必要があるのか
高齢者の中にはがんになったらどうしようと心配する方がいる。しかし、がんの痛みをコントロールできるのなら、がんで亡くなる方が幸せと考える医療関係者は多い。寝たきり期間が短く、亡くなる直前まで意識がしっかりしているケースが多いからだ。
「“調子が悪いので診てください”と言ってきた80代の男性患者は末期がんで数日後に亡くなりました。子供が小さく、家族や会社への責任がある若い人はがんと闘わなければなりません。しかし、子育てを終え、会社を勤め上げた人にとって、がんは悪い病気ではないかもしれません。例えば、85歳の人が胃がんの早期がんになったとしましょう。通常、早期胃がんの5年生存率は50%ほど。一方、85歳の人の平均余命は6年余りです。どちらも91歳前後で半分近くが亡くなる可能性が高い。そう考えれば高齢者が必ず病と闘う必要があるのか、考える必要もあるのではないでしょうか」