アルツハイマー病の新たな“共犯者”ミクログリア細胞の正体

ミクログリア細胞(小西講師提供)は痛みや発達障害にも関係

 そのミクログリアがなぜタウやAβと共にアルツハイマー病の犯人として浮上しているのか?

「この細胞は、外からの刺激で活性化すると姿を変えて、神経栄養因子や保護因子を放出すると同時に炎症性サイトカイン、一酸化窒素、活性酸素、興奮性アミノ酸など神経細胞を傷害する“毒”を吐くことがわかったからです。その結果、過剰なAβを貪食して掃除するだけでなく、正常な神経細胞にもダメージを与えてしまうのです」

 ミクログリアがどんな状況で過剰活性化して暴走するかは不明だ。明確なのは「炎症」が活性化の引き金になることだ。

「いくつかのケースが確認されています。ひとつは手や足など脳から遠い場所の病気やケガで生じた炎症により活性化されるケースです。敗血症は細菌感染をキッカケに、細菌が吐き出す毒素が全身に広がり、多臓器不全やショックなどを引き起こす重大病です。その原因のひとつが細菌の細胞壁の表面にあって免疫活性を促すリポ多糖(LPS)です。LPSを実験用マウスに注射するとミクログリアが活性化することが確認されています」

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