進化する糖尿病治療法

肥満で白色脂肪細胞が膨張… 重要なホルモン分泌にも影響

急激なダイエットもNG

 どういうホルモンかというと、血液中からブドウ糖を取り込んだり傷ついた血管を修復する「アディポネクチン」、血液中からのブドウ糖の取り込みを抑制する「TNF―α」「レジスチン」、血管収縮作用のある「アンジオテンシン」の材料「アンジオテンシノーゲン」、食欲抑制など多くの作用を持つ「レプチン」、止血効果を高める「PAI―1」など。

 白色脂肪細胞に脂肪が過剰に蓄積されて肥満になると、これらのホルモンの分泌量が変化。あるホルモンは分泌量が増え、あるホルモンは分泌量が減ります。

 すると体に異常が生じて、病気のリスクを上げることが分かっているのです。

 特に、内臓に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満は、皮下組織に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満よりもホルモン分泌量変動への影響が大きい。内臓周辺の白色脂肪細胞は、皮下脂肪周辺のそれらに比べて、ホルモンの分泌が活発だからです。

2 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事