ストレス社会の生き延び方

パワハラを未然に防ぐ「し・か・り・ぐ・せ」の極意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「り」は理論的に。

「感情的になってはいけません。次の『ぐ』を守れば可能です」

「ぐ」は具体的に。

「具体性が大事です。そうでないと、何で叱られているかわからないということになりかねません」

 最後の「せ」は性格を責めない。

「30代半ばの管理職の女性が20代後半の女性職員に雷を落とした事例があります。遅刻が多く、短いスカートに胸元の開いたトップスという部下のいでたちに、『いつも遅刻してきてどういうつもり! やる気あるの? ないの? 格好からしてだらしない。その性格から直しなさい』と怒鳴った。この場合、身体的接触はないので『し』はOKですが、隔離はできていないので『か』はダメ。感情的に怒鳴ったので『り』もダメ。『ぐ』は服装のことを言ってないのでNG。そして『せ』についても、性格を責めているので逆効果です。直しなさいと言っても効き目は期待できません。冒頭の自殺事件では、女性は上司から『髪ボサボサ、目が充血』『女子力がない』と言われていたようです。このように業務に関係のないことで叱るのも論外です」

 部下を注意するとき、「し・か・り・ぐ・せ」を思い出したい。

(構成・中森勇人)

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武神健之

武神健之

東京大学医学部大学院卒。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。年間1000件の健康相談、ストレス・メンタルヘルス相談を行う。著書に「職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書 上司のための『みる・きく・はなす』技術」(きずな出版)などがある。

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