■進化する補助人工心臓は有望な選択肢
内科治療では難しいとなると、左室形成術などの手術が行われる場合もありますが、最終的には、補助人工心臓や心臓移植が選択肢になるのが現状です。ただ、移植は世界的にもドナーが不足している状況なうえ、年齢や全身状態によって移植の適応にならない患者さんも少なくありません。そうした事情もあって、現実的には補助人工心臓が有力な選択肢といえます。患者さんの心臓は残して心臓のそばに人工心臓を設置し、落ちてしまった心機能を助けるシステムです。いまの日本では、移植を前提に待機している患者さんの「ブリッジユース(橋渡し)」しか保険適用されませんが、現在、それ以外の患者さんにも保険適用される直前の段階まで来ています。
最終的な治療=デスティネーション・セラピーとして補助人工心臓を使い、最新のAI技術を導入して故障を未然に防ぎ命を守っていくようにした臨床治験が進んでいるのです。命に関わる輸送手段である航空機や新幹線の重要部品管理にも通じる技術です。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」