Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

魔夜峰央さんも公表の食道がん 野菜と果物に抑制効果が

野口五郎さん(左)と堀ちえみさん(C)日刊ゲンダイ

 逆流性食道炎になると、胃の粘膜が食道とのつなぎ目を越えて食道側に広がることがあります。食道の粘膜の扁平上皮が、胃の粘膜の円柱上皮に置換されている状態で、バレット食道といいます。欧米の研究では、バレット食道の人は、健康な人に比べて食道がんの発症率が30~125倍も高い。このリスクは、見逃せません。

 2つのタイプのリスク因子は、扁平上皮がんが「喫煙」「飲酒」に加えて、「お酒を飲むと、顔が赤くなる体質」で、腺がんが「逆流性食道炎」「バレット食道」「肥満」「喫煙」です。

 お酒の飲み過ぎは逆流性食道炎を助長しますから、「飲酒」はどちらのタイプにも重なります。特に、飲んで顔が赤くなる人は、要注意といえるでしょう。

 国立がん研究センターの多目的コホート研究によると、野菜と果物をたくさん食べるグループは、あまり食べないグループに比べて、食道がんのリスクがほぼ半減。野菜の種類別では、キャベツや大根、小松菜などを含むアブラナ科の野菜がよいそうです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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